公開日時:2019年6月12日 最終更新日:2019/10/03
【医師監修】赤ちゃんの汗疹(あせも)の症状とは?原因と対策について
この記事の監修ドクター
清水なほみ医師
<監修者プロフィール>
2001年広島大学医学部医学科卒業
中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て、2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業
日本産科婦人科学会専門医/日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー
所属学会:日本産婦人科学会・日本性感染症学会・日本思春期学会・日本不妊カウンセリング学会
▼ポートサイド女性総合クリニック
http://www.vivalita.com/
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赤ちゃんのお肌はバリア機能が未熟で様々な湿疹ができやすいお肌です。
赤ちゃんのお肌にできる湿疹を総称して乳児湿疹と呼びますが、
乳児湿疹の中でも赤ちゃんのお肌にできやすい湿疹として汗疹(あせも)があります。
赤ちゃんにはなぜ汗疹ができやすいのか?汗疹の症状や対策についてご紹介します。
赤ちゃんに汗疹(あせも)ができやすいのはどうして?
名称からわかるように汗疹(あせも)は汗が原因となって起こる湿疹です。
大人でも汗疹ができる方はいらっしゃいますが、
子どもの方が圧倒的に汗疹になりやすいのです。
それはどうしてかといいますと、
赤ちゃんの方が汗っかきだからです。
赤ちゃんが汗っかきな理由、それは、
小さな体に大人と同じだけの汗の出る穴(汗孔:かんこう)があるからです。
赤ちゃんと大人では体の表面積が全く異なりますが、汗孔の数は同じということは、それだけ赤ちゃんのお肌には汗孔が密集しているということになります。
大人でいうとじんわりとかいただけの汗が、
赤ちゃんの場合だと汗でびしょびしょといった状態になります。
また、赤ちゃんは体温調節が苦手なため、大人よりも汗をかくことによって体温を調節する割合が多くなります。
ただでさえ、汗孔が密集し、体温調節が苦手な赤ちゃんは汗をかきやすい特徴がありますが、さらに赤ちゃんは、自ら暑い時に自分で服を脱いだり、エアコンの温度を下げたりといった調節ができません。
かいた汗をタオルやハンカチなどで拭き取るということも赤ちゃんは自分ではできないわけです。
汗疹のできる原因・メカニズムについて完全に解明されているわけではありませんが、
多量の汗により、汗腺内で汗が詰まってしまうことや、皮膚表面にたまった汗が原因で肌に常在している菌が増殖することが原因ではないかといわれています。
いずれにしても、汗をそのままにしていることが汗疹につながりやすくなりますので、
汗っかきで、自分で気温調節や汗を拭くなどができない赤ちゃんは汗疹ができやすくなります。
汗疹(あせも)ができやすい体の部位
あせもは体のどの部分にできやすいのでしょうか?
多いのはおしりやその上の腰部分です。
おむつをしていると汗で蒸れやすいですし、ギャザーの触れている部分などにできやすいとされています。
また、背中も寝ている最中に汗が溜まりやすく汗疹ができやすい部位です。
他にも首まわりや額、膝うら、肘うらなども汗が溜まりやすいので注意が必要です。
汗疹(あせも)の症状について
症状については、実はあせもとひとことで言っても、汗腺の詰まる深さに応じて大きく3種類に分かれます。
深在性汗疹(しんざいせいかんしん)
日本ではほとんどないようですが、深在性汗疹というものがあります。
皮膚の中でも真皮層という深部で汗腺が詰まりできる汗疹です。平たい湿疹ができ、痒みはほとんどないことが多いようです。
高温環境下で長時間さらされた際に起こりやすいため、熱帯地域に多く、日本ではあまり発症しません。
紅色汗疹(こうしょくかんしん)
名前からわかる通り、赤い湿疹が症状となる汗疹が紅色汗疹です。
皮膚の表皮付近で汗腺が詰まることでできる汗疹です。
一般的に「あせも」というとこの紅色汗腺を指すことが多いようです。
小さな赤い水泡がたくさんでき、痒みや場合によっては痛みを伴います。
水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)
水ぶくれのような白い湿疹として症状が現れるのが水晶様汗疹です。
皮膚の表皮の中でも最も表面にある角質層内の汗腺が詰まることで起こります。
皮膚のごく浅い箇所なので皮膚の中に水が詰まった水ぶくれのような症状です。
ただ、痒みや痛みといった症状はほとんどありません。
赤ちゃんの紅色汗疹に要注意
深在性汗疹は日本で起こりにくく、水晶様汗疹は痒みなどの症状が表れにくいのですが、紅色汗疹については痒みや痛みといった症状が表れるので注意が必要です。
乳児湿疹の中でもやはりかゆみを伴う湿疹はやっかいな症状です。
大人であればある程度我慢できますが、赤ちゃんは痒いと我慢することはできません。
知らず知らずに搔いてしまい、細菌感染がおこると「とびひ」となるケースもあります。
どのように汗疹(あせも)ケア・対策をすればいいの?
汗疹の対策といっても、汗疹ができないように行う予防ケアと汗疹ができてしまった後の治療の2つに分かれます。
汗疹からお肌を守るケア
まず、あせもからお肌を守るにはお肌を清潔に保つことが最も大切です。
そのためには、拭く・洗うをこまめに行ってあげましょう。
拭いたり・洗ったりする際に使用するものや拭き方・洗い方にこだわりましょう。
まず、拭く際は濡れガーゼや体拭きにも対応したおしりふきなどを利用します。
ただし、拭くというより軽く押し当てるという感覚で行いましょう。
ゴシゴシ擦るように拭くのはお肌への負担となってしまいます。
洗う際には、一日一回はベビーソープでしっかりと洗い流してあげてください。
それ以外で洗い流す場合には、ベビーソープなどは使用せずにぬるま湯でサッと洗い流してあげましょう。
お肌を清潔に保つことは大切ですが、洗い過ぎて皮脂を奪い過ぎるのもよくありません。
また、拭いたり洗ったり以外にも汗疹から赤ちゃんのお肌を守る方法があります。
それは、寝具や肌着の見直しや温度コントール等です。
吸水性・速乾性・通気性などに優れた素材の寝具や肌着を用いることで、赤ちゃんの多量の汗を吸い取ったり、早く乾かしたり、熱を逃がしたりして汗対策となります。
また、エアコンを上手に利用して室温をコントロールしてあげることで、暑さによる多量の発汗を防ぐことにもつながります。
できてしまった汗疹の対策法は?
では、汗疹ができてしまった場合はどうしたらよいのでしょうか?
できてしまった汗疹そのものの炎症や痒みを抑えるためには薬などを用いた治療が必要となります。
そのため、まずは掛かりつけの小児科や皮膚科で診察してもらいましょう。
症状が治まるまで医療機関の指示に従って治療を行っていくことが大切です。
ご家庭では、赤ちゃんが痒くて掻きむしってもなるべく肌に負担をかけないように赤ちゃんの爪は切ってあげましょう。
また、掻きむしり対策として赤ちゃん用のミトンを使用するのも良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
実は汗疹には3つの種類があり、中でも紅色汗疹の場合は痒みなどを伴います。
痒みは辛い症状であり、掻きむしることで症状を悪化させる可能性もあります。
そのため、大切なことはあせもができてから対処するより、あせも予防として日々赤ちゃんのお肌を清潔に保ってあげるようケアしてあげることです。
この記事を書いた人
古家後健太
<執筆者プロフィール>
化粧品成分検定1級合格(化粧品成分上級スペシャリスト)。ベビースキンケアと子育て情報の育児メディア『マンビーノ(mambino)』運営責任者。株式会社SANSHIN代表取締役。赤ちゃんのお肌の特徴を知れば、赤ちゃんこそスキンケアが必要なのがわかります。ですが実際はベビースキンケアの重要性は世間にあまり浸透していませんでした。赤ちゃんのお肌をトラブルから守るためには、しっかりと赤ちゃんのお肌に必要なケアを広める必要があると思い、2014年にオリジナルベビースキンケアブランド「Dolci Bolle(ドルチボーレ)」を立ち上げました。子供のお肌を守りたいというママやパパの想いに寄り添う化粧品をお届けします。
化粧品成分上級スペシャリスト認定書
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提供:株式会社SANSHIN